ディズニープラスに登録する必要がある事と、現在観ている海外ドラマがありすぎた事から、なかなか手を出せなかったスターウォーズ初の実写ドラマシリーズ『マンダロリアン』をようやく観ることができました。
スターウォーズの新作映画が公開されるたびに、賛否が分かれ、愛故に様々な評価が入り乱れること自体がスターウォーズファンの楽しみであるわけですが、この『マンダロリアン』に関しては私の見た限り絶賛ばかりで、否定的な意見をほとんど見た事がありませんでした。
本当かな、と思いつつとりあえず第一話を鑑賞してみた結果、私は途中まで観ていた全ての海外ドラマを中断することに決めました。
『マンダロリアン』控えめに言って最高です!
最優先に観るべき作品でした。
これをずーっと観ていたいと思いながらのあっという間の全8話。
スターウォーズを観てきた人も、スターウォーズを観るのをやめてしまった人も、間違いなく楽しめる極上のエンターテインメントドラマです。
【あらすじ】
"帝国が崩壊した後の物語。 銀河には中央政府が存在せず、始まったばかりの新共和国の法も銀河の辺境の開拓星には届かない。人々は自分の身は自分で守るしかなく、無法者たちは誰からも干渉されずに独自のルールで生きていた。そんな時代にバウンティハンター(賞金稼ぎ)として生き、苦闘する一匹狼の凄腕ガンファイター、マンダロリアンの姿を描く。"
私がこのドラマ心酔した理由は3つです。
・こんなスターウォーズが見たかった!
・こんなヨーダも見たかった!
・こんなボバ・フェットが見たかった!
こんなスターウォーズが見たかった!
私が好きな物語のテンプレート(雛型)に、大人と子どもの絆モノというジャンルがあります。
有名なところで言うと、「グロリア」「レオン」「グラン・トリノ」あたりが有名でしょうか。孤独な大人と、偶然出会ってしまった不遇な子どもとの絆が深まって行く物語は、よく知る話であったとしてもつい感情移入せずにいられません。
もう一つ好きな物語のテンプレートがあります。それは、ある組織に属していた主人公が、特別な事情から掟を破り、組織を抜け、次々とやって来る刺客との戦いを繰り広げるストーリーです。とくに思い入れのある物を挙げるなら、「カムイ外伝」「タイガーマスク」「デビルマン(TV版)」などです。このテンプレートの熱いところは、追う者も追われる者も、元々は同じ組織の同業者であるため、そこに互いの価値観と存在意義を懸けた真剣勝負の構造が生まれるところです。
『マンダロリアン』は賞金稼ぎとして生きる主人公が、依頼主の手から"ザ・チャイルド"を救い出したことをきっかけに、裏切り者として自らが賞金首となり、刺客に追われる立場になってしまう、というお話です。
刺客に追われる孤独な賞金稼ぎ(ストレート)と幼い子どもの逃避行(フラッシュ)、私の好きなテンプレートのど真ん中であるにも関わらず、そこがスターウォーズの世界(10,J,Q,K,A)なのであれば、これはもうロイヤルストレートフラッシュです。
私はこういうスターウォーズがみたかった!ただ、あまりにも個人的な趣向なので、まさか本当に見られるとは思っていませんでした。生きているとこういういい事があるので人生捨てたもんではありません。
こんなヨーダも見たかった!
劇中の"ザ・チャイルド"とは、ヨーダと同種族の幼児です。
これがとにかく可愛い!
YouTubeには可愛い小動物の動画が沢山ありますが、それらの小動物の可愛いところを抽出して、緑色にした生き物が"ザ・チャイルド"です。
スターウォーズep2、若かりし頃のヨーダとドゥークー伯爵の激しいバトルシーンは、ヨーダが格闘術においても最強であるということを知らしめる名場面ですが、さらに若かりし日のヨーダ(の種族)があそこまで可愛いのであれば、可愛さも最強!
スターウォーズ全キャラクター中ヨーダが全方位最強である事は間違いありません。
こんなボバ・フェットが見たかった!
ボバ・フェットとはスターウォーズシリーズに登場する賞金稼ぎです。
全身に隈無く装備された様々な兵器と"マンダロア装甲"という高性能な装甲服を纏ったボバ・フェットは、そのクールな見た目と高い戦闘能力から、スターウォーズのキャラクターの中でも特に人気のあるキャラクターです。
しかし、その人気の高さから、その後の作品には登場場面が増え続け、後付けの設定が膨らみすぎた結果、ミステリアスな脇役のカッコ良さは消え、私の好きだったep5のボバ・フェットは少しずつ印象の違うものになってしまいました。
グループの一員として注目を浴びていたアイドルがソロになり、間違った方向性で単体売りをした結果、人気が減ってしまった、といった感じでしょうか。
今思えば、私が『マンダロリアン』をあまり観たいと思わなかった理由も、実はそこが理由だったような気がします。
ところが、『マンダロリアン』の主人公マンダロリアンはボバ・フェットとほぼ同じ容姿、同じ賞金稼ぎという設定でありながらも、理性や人格をもった無骨で人間的な、ボバ・フェットとは全く別のキャラクターとして描かれています。
ボバ・フェットのカッコいいところはそのままに、さらに内面のカッコ良さをプラスすることで、ep5で誰もが感じたクールでミステリアスなボバ・フェットのイメージのまま新たに誕生したキャラクターといえるでしょう。
この手法がとても成功していると感じました。
見た目はボバ・フェットだけれど、ボバ・フェットではない、新たな魅力を持ったマンダロリアンという主人公を観ていると、自分の好きだったボバ・フェットを再び取り戻しているような感覚が生まれてくるから不思議です。
「私はこんなボバ・フェットが見たかった…」
『マンダロリアン』を観ながら、私は終始そう思っていました。
最後に
スターウォーズシリーズの中には賛否が分かれる作品もあります。
ある作品を観てガッカリしてしまったこときっかけに、シリーズ全体が色褪せてしまう、といった経験を持つ人もいるでしょう。
ただ、それとおなじようにある作品をきっかけに、そのシリーズ全体がまた好きになるといったこともあると思うのです。
スターウォーズシリーズにおいてこの『マンダロリアン』がそのような位置にある作品であると思います。
事実、私は『マンダロリアン』という素晴らしい作品があることで、スターウォーズシリーズに感じていた部分的な違和感(ボバ・フェットも含め)も許容できるような気持ちになっていました。
この作品はシリーズ全体の価値を底上げするほどの魅力と、作り手の熱意を感じます。
冒頭で書いた事を繰り返しますが、スターウォーズを観てきた人も、スターウォーズを観るのをやめてしまった人も、間違い無く楽しめる極上のエンターテインメントドラマです。
現時点では、ディズニープラスに登録することでしか視聴することはできませんが、月額770円(初月無料)でこんなにも素晴らしいスターウォーズが観られるのになぜ迷うのか!と、登録を迷っていたちょっと前の自分に言いたい!
『マンダロリアン』自信を持っておすすめします。