カンフーアクション映画は新旧一通り観ています。
ブルース・リーの『ドラゴンへの道』だけは私の人生において最重要作品であるので、『ドラゴンへの道』は殿堂入りとして除外し、それ以外のカンフーアクション映画の中から史上最高傑作を一本選びました。
ジージャー・ヤーニン『チョコレート・ファイター』です!
~あらすじ~
"日本人大物ヤクザ、マサシはタイの最大マフィアを率いるボス"ナンバー8"と対立関係にあったが、ナンバー8の情婦ジンと恋に落ち、ジンはマサシの子を身ごもる。
生まれた女の子はゼンと名づけられるが、脳の発達障害があることを医者から告げられる。
数年後、成長したゼンは、障害を持ちながらも、驚異的な反射神経と、様々な格闘術を一度見ただけで体得してしまうという身体能力を開花させる。
ある日、母親のジンが白血病と知ったゼンは、母親がマフィア時代に金を貸した相手の借用書を持ち、治療費のために借金の取り立てをはじめる。"
この作品はタイで製作されました。
かつての香港映画のように"お金が無いなら身体を使う"という、カンフーアクション映画の基本姿勢を踏襲するかたちで作られています。
ブルース・リーもジャッキー・チェンも初期の頃はずっとその姿勢で映画製作を行っていました。
この作品にはそういった伝説的アクションスターと過去作品へのオマージュとスピリッツがふんだんに詰め込まれています。
全てのカンフーアクション映画の魅力が主役の魅力であるように、この作品も魅力のほとんどは主演のジージャー・ヤーニンにあると考えます。
彼女はこの作品のために4年間もトレーニングを積んでおり、さらに撮影には2年間かかっています。努力家ですね。
しかも、ノースタント、ノーCG、ノーワイヤーの危険なアクションシーンです。今後のアクション映画においても、ここまでのものはもう見られないと思えるような、凄まじいアクションの出来でした。
精神力、演技力、身体能力、魅力、全てにおいて彼女はパーフェクトだと思います。
さらに作品の最後には、カンフーアクション映画のお約束、NGシーンもちゃんと含まれています。
ただ、この作品のNGシーンは、セリフの間違いをスタッフ同士で笑い合う、といった和やかなものではありません。
アクションシーン撮影時のガチの事故映像です。
この作品のアクションがどれだけ危険で、本物だったのかを裏付ける衝撃映像となっております。
バレンタインデーには、映画の『チョコレート』(チョコレートファイターの原題)もいかがでしょうか。
アクション映画最高傑作として、自信を持っておススメします。
監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ『チョコレート・ファイター』2008年