美容業界において、今から約60年ほど前までは剃刀で髪の毛を切るレザーカットが主流でしたが、ヴィダル・サスーンの登場により、ハサミを用いてカットする事が主流となります。
しかし、いまから20年程前に一時的に再びレザーカットのブームが起きた事がありました。
1980年代以降のファッションの主流であった、ワンレングスやボブなどの切りそろえた直線的なデザインに代わり、1990年後半からはウルフカットやエアリーボブなどの髪の毛に動きのある軽さを強調したヘアスタイルが主流となっていきます。
その軽さを出すために"シャギー"というカットテクニックが用いられるようになりました。
定着した美容用語なので聞いた事がある人も多いと思います。
美容用語としてのシャギーとは、毛先を削ぐ、又は梳く事を指します。
ハサミをスライドさせたり、すきバサミを用いたりして、毛先を削るように薄くカットする技法なのですが、ここで昔からあったレザーカットが再び注目されます。
レザー(剃刀)は文字通り毛先を剃ぐには最適でした。
私も一時期はレザーカットを多用していた事があります。
限界まで毛先を細く削るにはレザーが最も適しています。
これがレザーカットのメリットです。
しかし、髪を削るようにカットするということは、髪の毛の断面は鋭い鋭角となります。
垂直に切られた断面に比べ、毛先は裂けやすくなり、枝毛になりやすい髪になってしまいます。
これがレザーカットのデメリットです。
私自身、最近では全くレザーは使わなくなりました。
ダメージに対しての配慮もありますが、そこまで薄くするシャギーのニーズが無くなった事と、毛量調整においては、ここ20年の間にレザーカットに頼らない新たな技法(ハズシやドライカットなど)で対応ができるようになった事が主な理由です。
しかし、ヘアデザインの流行は常に変化し続けます。
90年代にたくさんの美容師がレザーカットを取り入れたように、再びレザーが、新しい形で又はデメリットを克服した形で見直される時が来るかもしれません。