私はいままで、自然災害を扱ったディザスタームービーを山ほど観てきましたが、ほとんどが、派手な破壊シーンが見せ場であり、"家族愛"がテーマとなっています。
家族愛は大切ですし、エンターテイメントとしてはこれでいいでしょう。
しかし、実際に自然災害が起きた時に起こる、複雑で困難な諸問題のほとんどは、個々人の想定を超え、家族愛だけで解決できるようなものではありません。
映画『コンテイジョン』は原因不明の感染症が世界中に広がり、その結果、世界は一体どうなってしまうのか、ということを描いた作品です。
最悪の事態であるパンデミック(感染爆発)が起きた時に、社会や個人に何が起きるのかを、淡々と丁寧に見せてくれます。
例えば、感染症が蔓延していく中
・社会は立ちゆくのか
・政府はどのように対応するのか
・ワクチンは間に合うのか
・どう感染を防げばよいのか
等の問題すべてが、現実的に描かれています。
災害時に、自身が取るべき行動の想定を広げる意味でも、参考になる部分がいくつも発見できました。
映画作品を観ながら作中の人物と一緒に、「自分ならどうするか」と考えてみることで、現実への備えができるかもしれません。
新型ウイルスの拡大が心配される今だからこそ、この映画を観ることで、感染が他人事ではない問題だと実感できるのではないでしょうか。
監督:スティーブン・ソダーバーグ『コンテイジョン』2011年