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印象がガラッと変わった女優 映画『よこがお』感想

   

   これまで気に留めてなかった役者さんの圧巻の演技を見たことで、その俳優さんが忘れられない存在になる体験をしたことはありませんか?

私はつい先日ありました。

 

   映画『よこがお』の主演女優、筒井真理子さんです。

 

   高評価という情報だけで、全く予備知識無しでこの映画を観たのですが、鑑賞しながら「うそでしょ」「まじか」という言葉が無意識に口から出ていました。

   予備知識ゼロでの鑑賞が最も楽しめると思うのですが、鑑賞するかどうか決めきれないという方のために、あらすじを一部紹介します。

"   初めて訪れた美容院で、リサは「和道」という美容師を指名した。数日後、和道の自宅付近で待ち伏せ、偶然会ったふりをするリサ。和道を見送った彼女が戻ったのは、窓から向かいの彼の部屋が見える安アパートの一室だった――。リサは偽名で、彼女の本当の名前は市子。半年前までは訪問看護師として、その献身的な仕事ぶりで周囲から厚く信頼されていた。"

 

  タイトルにもある"よこがお"とは他者から見た、人物の一面(表面・側面)を意味します。

  どんなに目の前の相手が善良そうに見えても、その相手が本心では何を考えているかまでは、分からないものです。

   映画 『よこがお』は、そのような、他者目線ではわからない複雑に入り組んだ人の内面と、被害者でもあり加害者でもある人格の境界を見事に描いています。

 

  主演の筒井真理子さんはどちらかというと、脇を固める助演のイメージでした。

  しかし今作、主演として改めて彼女を見ると、表現力の豊かさに圧倒されました。過去作でも名演をされていたのだと思います。注意を払って観ておくべきでした。

 

   深田晃司監督とは前作の『淵に立つ』という作品でもタッグを組んでいるそうです。

  そちらもきっと観るべき作品でしょう。

脚本・監督:深田晃司『よこがお』2019

 

 

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