最近観てよかった映画を紹介します。
ちなみに、みなさんはどのようにして観る映画を選びますか?
好きな監督、好きな原作、好きな俳優、流行りものなど、何か観たいと思う動機があって映画を選ぶことが一般的だと思います。でも、たまに特に観る予定もなく何となく観てみたら凄くよかった、なんてこともあるのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、私自身あまり観るつもりがなかったのに、ちょっとしたきっかけがあって観てみたらめちゃくちゃよかったという、まさしく”映画に呼ばれた”ような気持ちになれた3本でした。
では早速。
『太陽の子』
この作品はいつも映画の話で盛り上がる常連のお客様から教えて頂きました。NHKで放送されたドラマが良かったそうで、映画も楽しみにしているという話を聞いて興味が湧きました。
映画『太陽の子』は第二次世界大戦末期、日本国内において原子核爆弾の開発に携わることになった若き研究者の物語です。
主演の研究者を演じるのは柳楽優弥、幼馴染のヒロインに有村架純、そしてこの作品が最後の劇場公開作品となった弟役の三浦春馬です。
遺作や最後の作品と聞くと、どうしても作品と役者の死の因果関係を想像しがちですが、私は出来るだけ切り離して観るように心がけています。
人間の心理とは計りし得ない複雑なものですし、勝手に都合の良いバイアスをかけて感動に酔うことは、映画の意図を読み取ることに支障が出ると考えるからです。
しかし、戦時中の過酷な日常の中、未来を求めて葛藤する若者達の姿を描いた本作は、コロナ禍の現代と重なってしまう部分も多く、現実と切り離して鑑賞することは難しく感じました。
とくに三浦春馬の役柄とその演技は秀逸で、失われてしまった才能を残念に思いながら、命とは、未来とは、幸福とは、と考えずにはいられない作品でした。
『この世界の片隅に』『風立ちぬ』『アルキメデスの大戦』などが好きな人におすすめです。
『EXIT』
この作品はネットフリックスで見つけました。たまたま時間が空いて、あまり重くない作品が観たいと思ってこの作品を見始めたところ、これが大正解!
例えば、それがどんな映画なのかと聞いた時に、「笑えて、泣けて、ハラハラドキドキしましたー」と言われば、そのあまりにもありきたりなフレーズに「ああそうですか、よかったですね、ではまた」と、ついついスルーしてしまいそうになる気持ちもわかります。
でも、笑えて、泣けて、ハラハラドキドキできた映画って、今まで観てきた映画の中で実際に何本ありました?本気で笑って、泣いて、ハラハラドキドキできたらそんなの傑作に決まってるじゃないですか!?違いますか!?と語気を荒げてしまいそうになるほどの、文字通りアクションコメディエンターテイメントの傑作がこの『EXIT』です。
誇張なしで、本当に笑って、泣いて、ハラハラドキドキして、明日からまた頑張ろう!ってなれる作品です。
ラストのエンドロールに最後のスッキリがあるのでお見逃しなく!
『ダイ・ハード』『アンストッパブル』『アイアムアヒーロー』などが好きな人におすすめです。
『僕が飛び跳ねる理由』
自閉症スペクトラムに関わる人であれば知らない人はいない名著『自閉症の僕が飛び跳ねる理由』は30カ国以上で出版され、117万部を超えるベストセラーです。
私も自閉症に関する書籍を紹介するときに真っ先に思い浮かぶくらい思い入れのある本なので人にもよくすすめています。その日もあるお客様にこの本を紹介していて、そういえば映画化の話があったけどあれはどうなったのかな、とネットを調べてみるとアマゾンプライムビデオにあるのを見つけました。
映画『僕が飛び跳ねる理由』は『自閉症の僕が飛び跳ねる理由』をもとに製作されたドキュメンタリー映画でした。
世界各地の様々な自閉症者の生活や証言を追うことで、原作における"自閉症者は世界をどのように見ているのか"というテーマを具体的に浮かび上がらせ、同時に原作で書かれていた著者の言葉とその信憑性がスペクトラム(連続性を持って)に補填されて行く、という見事な構造になっています。
特に劇中の映像や音は、自閉症者が見ているもの、聞こえているものを、実際に体感しているかのように表現され、自閉症スペクトラムを理解するための映像テキストとしても優れたものになったのではないかと思いました。
今後は本だけでなく、こちらの映画も併せてご紹介させていただくことになりそうです。
NHKスペシャル『自閉症の君が教えてくれたこと』を観たことがある方は、その続編としても是非おすすめします。
以上、最近観て良かった映画を3つご紹介させていただきました。