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歳をとると一年が早く感じるのは何故か

 

年末の時期になると「一年があっという間だった」「一年間が年々早くなる」という会話が増えます。一年の長さや時間の速度が変わることはありません。ではなぜ、一年間の体感速度がこんなにも加速するのか、私を含め不思議に思っている方も多いと思います。

   きっと様々な説があると思うのですが、今日は私が最も腑に落ちた説をご紹介します。

 

  私は、分子生物学博士の福岡伸一さんの本が好きでこれまで数冊の著書を読んできました。その中の一冊『新版  動的平衡(どうてきへいこう)』という本の序盤に、この"歳をとると一年が早くなる"現象について書かれています。

  まず結論から言うと、人間は加齢によって新陳代謝の速度が遅くなるので実際の時間経過が早く感じるそうです。

 

   私たちは一年が365日であることは知っています。

しかし、それが100日くらいに感じているのであれば、それは「体内時計」による判断といえます。お腹が空いたからもうすぐお昼だ、とか、目が覚めたから朝か、のように、私たちは無意識のうちに体内時計を使い時間を判断しようとしています。

この体内時計の針の進むスピードは、体内のタンパク質の分解と再生の速度に起因し、新陳代謝が活発であれば、実際の時間経過は遅く感じ、新陳代謝が不活発になれば、実際の時間経過に追いつけなく感じる。これが"歳をとると一年が早くなる"現象の正体ではないか、というのです。

 

   この"追いつけなくなる"という表現が、私の心に突き刺さってしまいました。たしかにそうなのです。一年が早いのでは無く、私が追いつけなくなっているという悲しい現実に深く共感せずにいられませんでした。

   2019年もいろいろと追いつけませんでした。タピオカミルクティーとか一度も飲んでませんし。

福岡伸一『新版   動的平衡』(2017,6,5)小学館新書

 

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