いつも読む本のジャンルはバラバラですが、定期的にミステリー小説が読みたくなります。
好きな飲み物と好きな食べ物を用意して、劇中の登場人物と難解な事件に挑む時間は、至福のひとときです。
しかし、残念ながらここ数年、この作品を超えるようなミステリー小説には出会えてません。現時点で私のミステリー小説暫定一位!
ピエール・ルメートル『その女アレックス』です。
国内外の数々のミステリー賞を受賞。四つのミステリー小説ランキングで一位をとっています。最近本屋さんでよく見かける「このミステリーがすごい!」でも一位を獲りました。
"おまえが死ぬのを見たい――男はそう言って女を監禁した。檻に幽閉され、衰弱した女は死を目前に脱出を図るが……。
ここまでは序章にすぎない。孤独な女の壮絶な秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、慟哭と驚愕へと突進する。 "
最早、徹夜は辛いので滅多にしない(できない)のですが、読み進む手が止まらず久しぶりに夜明けを見ました。
あとがきにはこうあります。
「この作品を読み終えた人々は、プロットについて語る際に他の作品以上に慎重になる。それはネタバレを恐れてというよりも、自分が何かこれまでとは違う読書体験をしたと感じ、その体験の機会を他の読者から奪ってはならないと思うからのようだ」
私もそう思います。 なので、内容に触れないかわりに、魅力的な登場人物を紹介しましょう。
本作の事件を追うパリ警視庁犯罪捜査部班長 警部カミーユ・ヴェルーヴェン。
優れた知性と行動力も併せ持つ敏腕警部です。彼の身長は145cmしかなく、過酷な幼少期と劣等感が彼の優れた能力に起因します。
性格は無愛想で気に入らない相手には容赦はしません。最愛の妻を過去の事件で失っています。
コンプレックスがその人物の優れた能力を開花させているという設定に惹かれます。
「まるでリヴァイ兵士長(進撃の巨人)みたいだ」と思いながら読んでました。
残酷な描写もあるので、そういったものが苦手な方は注意が必要ですが、内容は抜群に面白い事を保証します。
今作の人気をきっかけにシリーズ作品も翻訳されました。ハマったかたも更に楽しめるのではないでしょうか。
くれぐれも徹夜をしても大丈夫な日に是非。
ピエール・ルメートル『その女アレックス』(2014,9,10)文春文庫