先日、お客様との会話の中で、娘(中学生)が美容師になりたいと言っているのだけれど、主人が反対している、という相談を受けました。
ご主人の反対の理由は、"知り合いで美容師を目指して幸せになった人が一人もいない"との事でした。
どう思いますかと聞かれ、私は「ご主人の言う通りかもしれませんね」と答えました。
何故私がそう思うのか、美容師を目指すと不幸になるのかどうかについて、美容師を続けてきた私が解説します。
不幸な美容師とは
そのご主人の言う不幸な美容師とはどんな人を指すのでしょうか。
想像ですが、美容師を目指していたのだけれど、なんらかの理由で途中で美容師を辞め、プライベートでも問題を抱え、生活に困窮している人、といったところでしょうか。
たしかに、自分の娘にそういった人生を歩ませたいと思う親はいません。
おそらくご主人は、美容師という職業に幻滅した元美容師からネガティブな意見を聞いたか、現在生活に困窮している元美容師を知っている、という状況から、美容師という職業に良いイメージが持てない、という気持ちがあったのではないかと思います。
否定的な意見ばかりを聞いていれば、だれもが悪い先入観を持ってしまうでしょう。
美容師を目指すと不幸になる理由
美容師の離職率は、就労して一年目で50%、10年後には90%と言われています。
私も美容師を辞めた人、美容師を目指したけれどなれなかった人、ならなかった人を沢山知っています。
美容師を志してはみたものの、結果的に辞める人が多い事は間違いありません。
しかしそれは、美容師という職業が特別不幸になりやすいからではない、と私は考えます。
最終的に離職することが多い美容師という職業をあえて多くの人が選んでしまう理由はひとつです。
・学生の時点で、働き方がイメージ出来る職業がそもそも少なすぎる。
働き方をイメージできる職業が少なければ、結果的になんとなくでもイメージ出来る職業を選ぶしかありません。
自身の適性の事まで考えが及ばないまま、高校卒業時等に、強引な進路決定に追い込まれてしまいます。
その点、美容師は誰もがよく知る職業です。
美容師ならば、日常的に利用していますし、働き方がイメージしやすいことから、なんとなくできそうな錯覚をしてしまいます。
結果的に、安易に決めた進路を受け入れてしまうということになります。
実際は、働いてみないと分からない苦労が美容師という職業にも沢山あるでしょう。しかしそれは、どの職業にも言えることではないでしょうか。美容師だけが特別、というわけではありません。
私は美容師以外にもいくつかの職場で働いたこともありますが、人が力を合わせて利益を上げる為に努力する、という根本的なことは何も変わらないと思います。
つまり、美容師を目指しても途中で辞める人が多いのは、安易に美容師を目指したため、そのギャップに苦しむ人が多いからです。
美容師を目指しても不幸にならない方法
美容師を目指しても不幸にならない、ギャップに苦しまないためには、美容師という職業に、固定された「先入観」を持たない事が重要です。
どの職業も常に変化し続けます。
YouTuberという職業が登場した頃のイメージと、現在のYouTuberのイメージが大きく変わったように、美容師という職業形態も将来的には変化していくでしょう。
「美容師とはこういうもの」という考えをそもそも持っていなければ、美容師になり、想定外の事態に直面しても、さほど驚きはしません。
それが難しければ、早い段階で美容師に、実際の働き方について聞いてみるのがいいでしょう。話を聞くだけでも、自分の中の先入観は減るはずです。
まとめ
結論として、美容師を目指すと不幸になるのではなく、美容師という職業が表面的にイメージしやすい職業であることが、希望者も離職者も多いという現象を起こしている、という事だと思います。
美容師は決して辛いばかりの仕事ではありません。
全ての職業は働く前にわかる事、働いてからわかる事の両方があります。
両方を経験し、理解した上で、選んだ道であれば不幸に向かう道であるはずがないと私は思います。