自閉症の息子の指示待ちは、動作の全てに指示を待つようになり、結果的に全ての動作がコマ送りのようになってしまうと以前の記事に書きました。
現在はそれに”逆再生”が加わるというなかなか困難な状況が続いています。
最近、「TENET」という映画(時間を逆行する装置を使って”第三次世界大戦”を阻止するために奔走するエージェントの活躍を描いたアクション作品)を観たのですが、動きとしてはあれに近いかもしれません。
具体的に言うなら、朝、事業所のお迎えが来て、玄関チャイムが鳴り、息子をソファーから立たせ、一歩一歩「いいよ、いいよ」と促しながら、ようやく玄関までたどりついたと思ったら、なぜか息子は逆再生のような後ろ歩きで、ソファーまで戻り、また再びソファーから立たせるところからやり直し。それらの一連の動作を息子が納得の行くまで繰り返す、という感じです。
玄関とソファーを行ったり来たりしながら、これはいったいなんの修行なのか…と思う時もありましたが、最近はもう慣れました。
今では、戻り方や速さなどを見ながら息子の体調や情緒を判断し、促しのニュアンスを変えたりしています。
逆再生の理由を想像するなら、駐車スペースに車を停める際、納得のいく理想的な駐車のために何度も切り返しをしている、というような感覚でしょうか。
多少曲がっていてもスペースをはみ出していなければオッケーという人もいれば、イメージ通りに駐車しなければ気が済まないというような人もいるでしょう。
息子は後者に近いと思います。
私は、車の駐車に関してとくにこだわりはありませんが、納得がいくまで何度もやり直したいと思ったり、時間を逆再生して(遡って)過去を変えられたらと思う事はあります。
というより、これまでの人生を振り返れば、もっと一瞬一瞬にこだわり、よく考え、場合によってはやり直しを恐れずに丁寧に生きるべきだった、と反省することは少なくありません。
学校での勉強、20代の頃の仕事への姿勢、若気の至り、恥ずかしい過去などは時間を遡って一つ残らず消し去りたい!(切実)。
そう考えると、息子の逆再生という行動の理由にしても、少しでもより良い未来にするためのやり直しの作業、もしくは未来への不安を少しでも軽減するための繰り返しの作業と考えるなら、たとえそこに時間がかかったとしても付き合う価値はあるような気がします。
忙しい時はついイライラしそうにもなりますが、出来るだけそう思うようにしてやって行こうと思っています。
と、思う反面! やはり事業所のスタッフの方々には毎回時間を取らせてしまい、とても申し訳ない気持ちでいっぱいです。
コマ送り、逆再生と来てるので、次は早送りや、倍速再生とかになってくれたら、朝のひと時も少しはスムーズになるのに、と思ったりもしますが、それはなかなか難しそうですので、もうしばらくは気長に私達の成長を見守って頂ければと思います。
ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願い致します。