自閉症の息子は小さい頃、雷がとても苦手でした。
雷が鳴り始めると「かみなり!かみなり!」と叫びながらパニックを起こし、近くにあるものを手当たり次第に投げまくり、雷が鳴り止むまでそれは続きました。
不運にも私達の住む宇都宮は日本でも有数の雷の多い都市です。
ちょうど今の季節、とくに日差しの強かった日中の夕方は、北東の方角にはやる気に満ちた雷雲が発生し、少しずつ空を怪しく覆い始めます。
息子は徐々に落ち着きがなくなり、頻繁に窓から外の様子をうかがい始めます。
そんな時、私は「大丈夫だよ」と、声をかけますが、息子はそんな言葉には騙されないぞと言わんばかりに、天候の観察に余念がありません。
「大丈夫だよ」という声かけも、実は注意点があって、決して"かみなり"というキーワードを言ってはいけません。
「大丈夫だよ、か み な り・・・」などと言ってしまったが最後、その"かみなり"というキーワードがスイッチとなり、雷が訪れる前にパニックが始まってしまうからです。
私は息子をなだめつつも、気付けば一緒に空を見上げ、これは確実に激しいのが来るな、と思ったときには、さっさと部屋を片付け息子のパニックの被害を最小限に留める準備をしていました。
成長と共に息子の雷恐怖症はおさまり、今では結構激しい雷であっても、息子はほとんど反応しなくなりました。
先日も、息子とシャワーを浴びているときにかなり大きな雷鳴が響き、突然停電になったときは「おわっっ!」と、私の方が大きな声を出してしまったくらいです。
息子は特に慌てる様子もなく、ボイラーが停止した事でシャワーのお湯が水になったのを感じ「み、ず」と言って笑ってました。