20歳の頃、美容師を志ざす上で一番最初に影響を受けたアーティストがヴィダル・サスーンです。
17人以上のフルバンドが主流の時代に、たった4人編成のビートルズが音楽業界を仕組みから変えてしまったように、美容業界ではヘアデザインにおいてサスーン以前、以降と言われるくらい多大な影響を与えた人物です。
数あるサスーンの作品の中で、このファイブポイントという作品に衝撃を受けました。
この幾何学的なデザインを始めて見た時、肉体労働だけの負の印象だった美容師という職業が一気に表現者としての職業であると認識が変わりました。
さらにこの作品の凄いところは、恐ろしく洗練されているデザインであるにもかかわらず、動いても風に吹かれてもすぐ元に戻るという機能性にも優れたヘアスタイルでもあったところです。
デザインと機能性という現代のサロンワークでは必須の概念がこのスタイルから始まったと言っても過言ではありません。
今でもファイブポイントを見るたびに、どんな職業にも表現者の側面は必ずあって、それに気づく事が自身の職業に誇りを持つきっかけになるのではと考えます。