おそらく今回、司馬遼太郎作品を初めて読んでいると思うのですが、とても読みやすいです。
まだ『竜馬がゆく』を読んでいる途中ですが、もう既に他の作品も読んでみたいと思い始めています。
『竜馬がゆく(二)』~悩む竜馬~
一巻では、モテモテでも、モテにはあまり興味がなく、剣と船に夢中の竜馬でしたが、二巻の竜馬は、北辰一刀流の免許皆伝を得たにも関わらず、自分は将来何をやりたいのか、やるべきなのかを悩みます。
道場を作ってやると言っている兄の言葉も聞かず、竜馬は「やっぱり剣じゃなくて学問の方が大事なようなきがしてきた!」と言い始め、今度は苦手だった勉強をはじめます。
一方、世の中は黒船の来航以降、倒幕派と佐幕派の対立は深まりつつありました。
猛勉強を始めた竜馬ですが、幼馴染みには倒幕を手伝ってと言われ、学問の先生には倒幕より産業、商業だと言われます。
困った竜馬は自分の答えを求めて奔走し、悩み続けます。
と、いうのが二巻のあらすじです。
本巻も竜馬は相変わらずモテてます。
剣の腕も相変わらずめちゃくちゃ強く、泣き虫だった子どもの頃が信じられません。
しかし、こんな場面がありました。
旅の途中に出会った女性が、竜馬との別れを惜しみ、泣いているのを見た竜馬は、自分も一緒に泣こうか?と言います。
驚く女性に、子どもの頃はずっと泣き虫だったから泣き真似は得意なんだと言って、竜馬は泣いているふりを見せようとします、が、だんだん悲しくなってきて、本当に子どもの頃の様に泣き出してしまう、という場面です。
このシーンにはグッと来ました。
竜馬の心の中にせき止めてられていた感情が、不意ににあふれ出してしまうという名シーンです。
普段の竜馬は、おおらかで、降りかかる困難にも動揺せず、明るく楽観的に物事に取り組みます。
私は、竜馬の成長を感じ、頼もしくなったな、と思いながら読み進めていましたが、実際の竜馬は、人間関係に悩み、将来に悩み、周囲の人々の想いに悩み、様々な悩みの中で、本当は子ども頃と同じように、ずっと不安で泣きたい気持ちを我慢していた、という事が明らかになるという素晴らしい場面です。
竜馬の優しい人間性がよくわかります。
私は竜馬と自分を重ねながら、さらに竜馬に親近感を覚えました。
気付けばどんどん竜馬の魅力にはまっています。
三巻ではどんな竜馬が見られるのでしょうか。続きが楽しみです。