お風呂は息子と一緒に入ります。
私が「お風呂入るか」というと、息子はいつも嬉しそうに「入るか!」と返事をします。
自閉症の息子にとってお風呂は楽しみの一つです。
小さい時から、お風呂を嫌がることはあまりありませんでした。
以前『自閉症と水のある場所』という記事でも書いたような、自閉症特有の水に対するこだわりもあって、むしろお風呂から出たがらないところが大変でした。
何度も切り替えをうながしたり、アイスで釣ったりしてきましたが、現在は落ち着いて、スムーズに入浴ができています。
息子は小さなフィギュアが浮かんでくるバスボール(入浴剤)が特に好きで、これまで数千個のバスボールを浴槽に溶かしてきました。
フィギュアが欲しいというよりは、バスボールが溶けていく様子を見ることと、炭酸ガスと一緒に出る香りが好きなようです。
親子でバスボールが溶ける様子をじっと見つめている姿はなかなかシュールかもしれません。
そんなお風呂が大好きな息子ですが、入浴中苦手な事があります。
体を洗う事です。
苦手というよりは、身体を洗う事の意味をあまり理解してないと思われます。
一人で身体を洗う事も出来なくは無いのですが、丁寧に全身を洗う事ということはうまく出来ません。
大雑把に泡を塗りたくるだけになってしまいます。
多分今後も、息子が清潔感や身だしなみという概念を理解することは難しいと思います。
なので、身体を洗う時は、まず息子と一緒に並んで立ちます。
それから、それぞれの専用のスポンジを一つずつ持ち、ボディーソープを泡立て、私の動きに合わせて一緒に身体を洗うという方法を用いています。
真似をする事は出来るので、私と同じ様に動けば隅々まで洗えるという作戦です。
もう何年もやっているので、息子と私の動きにほとんどタイムラグは無く、ほぼシンクロした状態で二人並んで身体洗う様子は、ちょっとしたダンスのように見えるかもしれません。
最後に息子の背中を私が洗い、息子が私の背中を洗い、私が「ありがとう」といったら終了です。
順番にシャワーで身体を流し、私は浴室を出て、息子は私が呼びに来るまで、浴槽に入ってくつろいでいます。
入浴を終え、バスタオルで身体を拭くときも、拭き残しがあるので、仕上げは私が拭きます。
息子の身体を拭きながら、いつも頭に浮かぶのは牧場です。
牧場の飼育員が、将来有望な競走馬にブラシをかけている心境がこんなかんじかな、と思いながらいつも息子の身体を拭いています。
息子の自立の為には、いつかは完全に一人で入浴が出来ることが望ましいのかもしれません。
ずっと私が一緒に入浴出来る訳ではない事を考えれば、出来るだけ早く一人で入浴するトレーニングを始めるべきなのでは、と思う事もあります。
しかし、あまり焦らないようにしています。
今は情緒の安定を優先し、楽しい入浴時間を過ごす事を大事にしながら、少しずつ、曜日を決めて一人で入浴する訓練などを、導入してみようかと思っています。