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『竜馬がゆく』6巻【感想】

   

  『竜馬がゆく』を読んでいると、どうしても以前観た大河ドラマ『竜馬伝』のイメージと重なります。

    ですので、私の頭の中では、『竜馬伝』のキャスティングで『竜馬がゆく』を再演してもらっているような感覚です。

   歴史的にはほぼ同じ話なわけですから、これは仕方ない事だと思います。

 

『竜馬がゆく()』~キレる竜馬~

   どちらかといえば、他者に対してあまり干渉しない竜馬ですが、自分の夢の為にも、幕府を倒すためにも、どうしても長州藩と薩摩藩の力が必要です。

   めちゃくちゃ仲の悪い長州藩と薩摩藩の仲を取り持つために、竜馬は本気で奔走します。

   しかし、薩摩の西郷を説得しても、長州の桂を説得しても、お互い面子だのプライドだのと言って、なかなか埒が明きません。

  さすがの竜馬もキレます。(以下現代語訳)

「やっぱ薩摩と仲良くするの無理だわ。俺もう長州帰るよ」

竜馬「は?なにそれ?意味わかんないんですけど。あのさ、前から言おうと思ってたんだけどさ、この前からずーっと長州とか薩摩とか小さい事言ってるけどさ、おまえらどっちも日本人だろ!俺の仲間はそんなちっちゃな藩の面子の為に死んでったんじゃねーからなっ!!もーいい、もーわかった、俺が西郷んとこ行って、直接話しをつけてくる!」

タッタッタッタッタッ(薩摩藩邸に走る竜馬)

竜馬「西郷!おーい西郷!起きてるかー!」

西郷「なんでごわすか?」

竜馬「今、桂と話したんだけど、桂も長州人も、幕府にも薩摩にも朝廷にも嫌われて、もうおしまいだーみたいになってんだけどさ、西郷どう思う?なんとも思わない?いいの?薩摩はそれでいいわけ?」

西郷「よくないでごわす」

竜馬「だよね?そう思うでしょ?さすが西郷!今、桂をそこに待たせてるから、この場で薩長連合の締盟を遂げていただきたいっ!!」

西郷「わかったでごわす」

   

    と、いうのが六巻のあらすじ?です。

 

  六巻を読んでいて思ったのは、喧嘩をしている両者の間に、勝手に入り込んできた来た第三者の熱量が、喧嘩の張本人達をむしろ冷静にする、という現象は現代の人間社会においても当てはまると思いました。

   世の中にある全ての二元論的な対立には、やはり竜馬のような熱い第三の立場が必要なのかもしれません。

   と、いうわけで、竜馬がゆくも残り少なくなってきましたが、今後も『竜馬伝』のキャスティングで楽しんでいきたいと思います。

 

司馬遼太郎『竜馬がゆく()(1975,8,25)文春文庫

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