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『鬼滅の刃』人気の理由

 

 

 大ヒット上映中の劇場版鬼滅の刃 無限列車編』みなさんはもうご覧になられましたでしょうか。

 先日私も遅ればせながらTOHOシネマズ宇都宮にて鑑賞してまいりました。

 率直に言ってとても面白く、『鬼滅の刃』という作品の持つ熱量と、煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)の熱量をたっぷりと堪能させて頂きました。

 

 今回は、コロナ禍の中、外出を控えていた人々が堰を切ったように劇場に押し寄せているこの現象を「何事か?」鬼滅の刃って面白いのか?と思っていらっしゃる方に向け『鬼滅の刃』という作品の簡単な説明と、このブームの理由を私なりに考えてみたことを書いてみようと思います。

 

 テーマは3つです。

 ・『鬼滅の刃』の魅力とは

 ・『鬼滅の刃』人気の理由

 ・劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』は歴代興行成績第一位を塗り替えるのか!?

 

 では始めます。

 

 

・『鬼滅の刃』の魅力とは

 

 『鬼滅の刃』は五峠呼世晴(ごとうげ こよはる)による日本の漫画です。

 少年ジャンプにおいて2016年の2月から、2020年の5月まで連載されました。

 あらすじ

 大正時代。主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)は亡き父親の跡を継ぎ、炭焼きをして家族の暮らしを支えていた。炭治郎が家を空けたある日、家族はに惨殺され、唯一生き残った妹の竈門禰豆子(かまどねずこ)も鬼と化してしまう。

 禰豆子に襲われかけた炭治郎を救ったのは岡義勇(とみおかぎゆう)と名乗る剣士だった。

 義勇は禰豆子を「退治」しようとするが、兄妹の絆が確かに残っていることに気付き剣を収める。

 義勇の導きで「育手」鱗滝左近(うろこだきさこん)の元を訪れた炭治郎は、禰豆子を人間に戻す方法を求め、鬼を追うため剣術の修行に身を費やす。

 2年後、炭治郎は命を賭けた最終関門である選別試験を経て、「鬼殺隊」に入隊する。

 

  初めて『鬼滅の刃』という漫画を読んだ時、私が最初に感じたのは違和感です。無骨なタッチの絵と大正時代という世界観、生真面目で家族想いの主人公。いわゆる私の考えてい少年ジャンプ的(友情、努力、勝利)な漫画とは全く違う雰囲気の作品でした。

 ずいぶん奇を衒った新連載だな、と思いながら読んでいくと、これがめちゃくちゃ面白い。

 この面白さの正体は何なのかと考えた時に、まず思いついたのは主人公である竈門炭治郎の設定(性格)です。

 漫画の主人公は往々にして型破りであることで物語のカタルシスを生むものですが、炭治郎はむしろ型を破らない、常に利他的で実直さに徹底したキャラクターとして描かれます。

 "ぺこぱ"というお笑いコンビが、否定しないツッコミ、相手をフォローするツッコミという芸風で人気を得ましたが、このスタイルととてもよく似ています。

 ボケとツッコミというお笑いの"型"において、ツッコミという否定行為がボケを際立たせ笑いを生みますが、あえて否定せず、相手をフォローし続けるツッコミという意外性が評価されました。

 

 ボケる。→ ボケを肯定する。フォローする。→ 観客が心の中で突っ込む。→ 笑いが生まれる。(誰も傷つけない優しい笑い)

 

 と、いう斬新な型が生まれ、同じような型が『鬼滅の刃』という漫画にも描かれている、と私は感じました。

 実際に『鬼滅の刃』という作品には、ツッコミどころ満載のキャラクター(イノシシの被り物をしているキャラ、戦いが怖くてずっと泣き叫んでいるキャラ等)が数々登場しますが、主人公の炭治郎は一貫してそれらにツッコまず(否定せず)、全肯定の姿勢を崩しません。

 何が起きても、実直で生真面目、決して真心と希望を失わない炭治郎に、観客はツッコミ、笑い、驚き、そして感動する。それが『鬼滅の刃』の魅力の中心ではないかと私は思います。

 

 

・『鬼滅の刃』人気の理由

 

 いくら漫画(原作)が面白くても、簡単に社会現象になるほどのヒットになる事はありません。

 『鬼滅の刃』がここまで人気になった理由はいくつかあります。私が考えた成功の主な理由は以下の3つです。

 

 1・テレビアニメ化の成功

 漫画がアニメ化されたとしても、ヒットするとは限りません。原作のファンであればあるほどアニメの完成度は気になるところです。

 しかし、テレビアニメ『鬼滅の刃』の完成度は高く、とても素晴らしいものでした。

 特に制作脚本を手掛けたアニメ制作会社"ユーフォーテーブル"の戦闘シーンは定評が高く、それは『鬼滅の刃』においても遺憾なく発揮され、漫画では表現しきれなかった部分が見事に補完されています。

 さらに主題歌、劇中歌、ともにヒットし、より多くの人々に『鬼滅の刃』という作品が知れ渡るきっかけとなりました。

 

 

 2・予想外の連載終了

 自分の好きな漫画の連載が終わってしまうことはとても悲しいものです。ファンとしては少しでも長く連載を読み続けたいという気持ちもありますが、一方で人気作品の最終回を悪戯に引き延ばし、結果的にファンが離れてしまう要因になってしまったという例もあります。

 漫画『鬼滅の刃』は人気の絶頂期に連載が終了しました。

 連載終了の理由は諸説ありますが、多くのファンに惜しまれつつ連載が終わったというところは、人気が継続している理由の一つだと思います。

 せっかく好きになったのにもう読めないという気持ちは、従来のファン心理を高め、劇場版や今後のアニメシリーズに更なる期待を膨らませました。

 更には、結果的にコミック22巻アニメ26話という比較的取り組みやすいボリュームになったことで、新規のファンが参入しやすいというところも、『鬼滅の刃』の人気が継続し続けている理由ではないかと思います。

 

 3・サブスクリプションの普及

 現代はスマートフォンの普及により、漫画もテレビアニメも、様々なサブスクリプション(定額課金)サービスでいつでも楽しむ事ができます。

 売り切れを気にせず、いつでもどこでも利用出来るこのサービスの手軽さは、人気のコンテンツを短期間で多くの人に広める事が可能です。

 そしてコロナ禍の中、外出をする人は減り、学校は休校になり、リモートワークが増えた事などからサブスクリプションサービスの利用者は急激に増えました。

 ネットフリックス(サブスクリプションサービスの一つ)においては、数あるコンテンツの中でも、話題沸騰中の『鬼滅の刃』は鑑賞者が増え続け、視聴回数は常に上位です。

 作品の魅力は勿論ですが、新たなメディアの浸透も人気を後押ししたのではないかと思います。

 

 

・劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』は歴代興行成績第一位を塗り替えるのか!?

 

 現在、国内歴代興行収入第一位は『千と千尋の神隠し』(308億円)です。

 言わずと知れたスタジオジブリの名作であり、アカデミー賞受賞作品でもあることから国内で最も有名なアニメーション映画であることは間違いありません。

 その記録を劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』が塗り替える可能性が出てきています。

 既に劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』は公開10日で100億円を突破しており、歴代最速興行収入100億円の記録を打ち出してます。

 『千と千尋の神隠し』が公開された当時、現在の映画鑑賞施設の主流であるシネマコンプレックス(一施設に多数のスクリーンを持つ映画館)は普及していませんでした。

 シネマコンプレックスは人気の高い作品を複数のスクリーンで同時に上映する事ができるため、特定の作品を一時的に上映スクリーンを増やし、公開から短期間で興行収入を得る事ができます。

 『鬼滅の刃』の人気であればあっという間に300億円に到達にしそうな勢いですが、現在はコロナ禍です。スクリーンを増やしても座席数は通常の半分、鬼滅の刃の人気を以ってしてでも、自粛を解き劇場に足を運ぶ人が爆発的に増える可能性は、あまり期待が持てないのではないかと思います。

 しかし、個人的には『鬼滅の刃』が記録を塗り替える事で、日本のアニメーション業界が盛り上がり、更なる活性化につながればと思います。

 上映期間の長期化、または最終巻の発売に合わせたテレビアニメ新シリーズの制作発表、からのリバイバル上映、などが実現すれば劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』が記録を塗り替える可能性はあると思います。

 

・最後に

 

 劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』を観るために劇場に出向いた時、久しぶりに沢山の子ども達が映画館にいるのを見ました。

 もしかすると、その子ども達にとって本作が映画館で観る初めての作品だったかもしれません。

 私が生まれて初めて観た劇場版アニメーション作品は『銀河鉄道999』でした。

 今観てもその手書きのクオリティの高さに驚くアニメーション映画の傑作ですが、映画館の巨大なスクリーンで観た時の高揚感はいまだに忘れられません。エンディングにかかるゴダイゴの「銀河鉄道999」は電車に乗るときに今でも頭に流れます。

 当時も今の『鬼滅の刃』のようにブームがありました。

 毎週ゴールデンタイムにアニメが放送され、本屋には関連本が溢れ、至るところにキャラクターグッズやポスター、ラミネートカード、それらを買っては、劇場で観た映画を何度も思い出し、大人になったら機械の身体になるべきか、生身の身体でいるべきか、真剣に悩んだものです。

 

 私は、特定の作品が人気を博し、社会を巻き込むようなブームを起こす時、そこにはなんらかの意味や理由があると考えます。

 

 ジャンプファンやアニメファンだけでなく、小さな子ども達がなぜ『鬼滅の刃』に惹かれるのか、これを機に作品に触れ、思いを巡らせてみるのも良いのではないでしょうか。

 時代を反映するようなテーマや、社会が抱える問題の本質のようなものが見えてくるかもしれません。

 

 

監督:外崎春雄 原作:吾峠呼世晴 劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』2020年

 

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