童話『ちびくろサンボ』の中で、獲物を奪い合うトラたちが、木の周りをぐるぐると回り始めそのまま溶けてバターになる場面があります。
子どもの私は衝撃を受けました。
「高速で回転すると溶けてしまうのか…」
それ以降はしばらく、鬼ごっこでもあまり一箇所をぐるぐる回る事は避け、回転する遊具などには極力溶けないよう速度に気をつけて乗っていた記憶があります。
そんな経緯から、現在でもバターを見るたびに"ウシ"ではなく"トラ"を連想してしまうようになりました。
月日は流れ、私の中のバターへの恐怖は、美味しい食材への興味に移り変わっていきました。
今でも美味しそうなバターを見つける度に、少々高くても食べてみたくなります。
トラピスト、エシレ、カルピス、ギーなど、どれも美味しいバターなのですが、ただ、私の期待値が高すぎるせいか、どんなバターを食べても感想は大抵「…ふつうにバターだ」止まりです。
今回買ったセル・ドゥ・メールも、岩塩の粒を感じるくらいで、驚くようなインパクトはありませんでした。
考えてみれば、トラが回転して溶けたバターを超えるようなインパクトは、なかなかありませんよね。
ちなみに、タイガーバームという、パッケージを見る限りいかにもトラが溶けたバターのような商品がありますが、あれは食べ物ではなく、鎮痛剤でした。
宜しければ、あなたの知る最強のバターも教えて下さい。